97年9月6日(土曜日) 鹿島港

今日は家内の「女だけホームパ−ティ」にまたも自宅を追い出され、あゆみと二人で釣りに行くことになりました。前日筑波の上州屋で色々聞いたところ、どこもあまり釣れていない様子です。特に回遊魚は望み薄のようで、結局先週のソイを求めて北新堤に行くことにしました。

あゆみが学校から帰り、食事をした後出発です。まず筑波の上州屋で餌を買います。今日はサバを狙わないのでアミコマセはなし。代わりにソイ狙い用にコウナゴとイワシを買ってみることにしました。アジ用の付け餌用のオキアミと青イソメはいつも通りです。途中で木村さんから携帯に電話が入り、北新堤近くのコンビニで合流、堤防着は4時頃でした。木村さんは午前中波崎や銚子を廻ってからの参戦ですが、結構海が荒れていて釣りにくかったとのこと。案の定北新堤も外側は結構荒れており、先週の場所でのヘチ釣りは難しそうです。

今日はあゆみは「かに網専門職」を宣言していたので、取りあえずテトラ崩れ辺りまで行きカニ網を投入します。でもカニ網を待つのは退屈なので、すぐに飽きます。

「パパ、浮き釣りするから私の竿作って。」

「ここで浮き釣りしてもフグだよ。」

「いいの、フグ釣って遊ぶんだから。」

ということで、1号の磯竿に軽いリールを付け、浮きは固定式にしてあゆみに渡します。オキアミ餌で釣り始めますが、すぐに餌取りにやられます。

「ぱぱ、餌付けて」

「自分で付けろ」

「だって面倒なんだもん」

うるさいので、オキアミをやめて、餌持ちのいい青イソメを付けてやりますが、今度は何も食わないようです。私の方は青イソメの遠投と、身餌のへち垂らし釣りをしてみますが、何も掛かりません。身餌の方はあっという間にぼろぼろになります。どうも相当フグがいるようです。仕方が無いのでヘチ釣りは暗くなるまで休憩とします。木村さんの方はテトラ崩れを越えて外側に投げ釣りをしますが、掛かるのはフグばかりの様です。

「あゆみちゃん、フグ釣れたよ」

「わーい、ちょうだい」

あゆみの遊び相手にはフグでいいのですが、夕食のおかずにはなりません。

夕方になったので、ワカシを狙ってタコベイト6本針を使った遠投サビキを始めることにしました。一投目を投げ込んでさびいてくると、当たりです。合わせると何か掛かった感触。

「お、何か来た。」

ワカシやイナダにしては弱い引きです。サバにしても弱いのですが、小さなサバという感じです。

「さばですか?」

「多分サバです。」

と言いながら上げてみると、何と上がってきたのはタチウオです。タコベイトを食いに来たやつがスレで掛かったようですが、60センチを越えるまあまあのサイズです。

「やったあ、タチウオだ、初めて見た。奇麗!!パパすごーい。」

「あゆみ、気を付けろ。噛まれるぞ。」

「凄い歯。これでも噛め。」

「しかしタチウオは始めてだねえ。」

「パパも生まれて初めてなの?」

「そうだよ。」

「やったやった、凄い凄い。もっと釣って。」

しかし、世の中そう上手くはいきません。それ以後は当たりが途絶えます。それに加え、あゆみの割り込みが頻発します。

「パパ、餌付けて」

「パパ、針が引っかかった」

「パパ、カニ獲れた」

の世話をしているうちに暗くなってしまいました。あゆみの割り込みが一段落したので、途中でさびくのをやめてほおっておいたタコベイトをサビキ始めると、何だかいやな感触です。重いけれど魚ではない、これは他の人の仕掛けと絡んだ感触です。しかし両側の投げサビキの浮きを見ても引っかかっている様子はありません。用心しながら上げてみると、何と掛かっていたのは「スキップバニー、ピンク弓角付きセット。定価1800円」です。

「スキップバニーが釣れましたよ。」

「えー、やりましたね。それ高いですよ。」

「うん、今日一番の獲物ですね。」

ということで、本日の遠投サビキは終了としました。暗くなったのでランタンで「水族館釣り」の準備をし、魚が集まるまで先端にヘチ釣りに行ってみることにしました。しかし先端でのヘチ釣りは惨敗です。全く当たりもなく、15分ほどで引き上げました。結局今日のヘチ釣りは木村さんがアナゴを釣っただけで、私は完敗でした。ドンコはどこに行ってしまったのだろう・・・

さて、戻ってきて水族館釣りをしますが、釣れるのはフグばかり。周りもサバはたまに来ていますが、アジは全く釣れていないようです。明るいうちは隣のサビキで小さなイワシが釣れていたのですが・・・と、そのとき、木村さんが何かを見つけます。

「何か泳いでますよ。」

「ほんとだ。イカだ。タモですくえないかな」

「パパ、やってみて」

慌ててタモを持ち出し、すくいますが、網目から落ちます。しかし何度目かのトライで、何とか成功。

「やった」

「あっ、落ちた」

堤防の下方の、少し階段状になったところの上に落ちます。

「あ、タコだ」

イカだと思っていたのは、イイダコでした。歩いて逃げようとしています。慌てて下に降り、手で捕獲します。

「やったあ、タコゲットだゼ。」

「あゆみ気をつけな。タコに噛まれると痛いよ。」

「いたタタ、噛まれた!!」

慌ててタコをあゆみの腕から剥がしますが、タコが吸盤で強く吸い付いたので痛さを感じただけで、噛まれてはいませんでした。

さて、8時過ぎになり、今日はあまり釣れないので納竿することにしました。そこで、サンマ餌でチョイ投げしていた投げ竿を上げようとすると根掛かりのような重さです。

「ありゃ、地面だ。」

「根ですか、でも動いてません?」

「確かにじわじわ動いてますねえ、お、魚だ。」

突然強い引き込みが襲います。

「しまった、このリールはドラグが効かないんだ。」

「慎重に上げるしかないですね。」

「取りあえずタモ準備しておいてもらえます?」

慎重にやり取りしながら、じわじわ寄せます。時々強い引き込みがありますが、ナイロン3号なので無理はできません。でも近づいてくると、抵抗の仕方がいつものやつです。

「コリャ、アナゴだな。」

「アナゴですか。先週のくらいあります?」

「あれほどはないけど、結構強いですよ。でもこのぐにゃぐにゃした引き込みはアナゴですよ」

何度かの引き込みをかわした後、水面に上がってきたのはやはりアナゴです。何とかタモを使わずに抜き上げます。長さは60センチ弱ですが、丸々太ったマアナゴでした。

結局これが最後で、納竿としました。帰り際、堤防の上にサバを捨てているグループがあり、あゆみが不思議がります。

「どうしてサバ捨ててるの?」

「きっと、サバはいらないんだよ。」

「じゃあ、逃がしてやればいいのに」

「ああやって、堤防の上で乾かして、かに網の餌にするのかもよ」

親としては苦しい言い訳ですが・・・フグでもちゃんとリリースするあゆみさんには、サバを堤防上に捨てる人の気持ちは分からないようです。(皆さん、堤防上にサバ捨てないで下さいね。)

さて、本日の釣果(収穫?)は、タチウオ68センチ、アナゴ55センチ、イイダコ、それにスキップバニー??でした。といっても、ちゃんと針を食って上がってきたのはアナゴだけです。カニもとれましたが、美味しいカニが採れなかったので、リリースしました。まあ初タチウオを釣ったので私は満足ですが、全体的に北新堤防はあまり釣れなくなってきました。

ということで、来週あたりから北方(大洗や日立)に移る予定ですので、乞うご期待!!?