98年2月28日(土曜日) 日立港

今日は前回沖提釣行メンバー(私、きむ(木村)さん、ジョージさん)に加え、前回風邪で参加できなかったAFIS(ARCサーフ)代表の近太郎(近藤)さんとで日立OLMリターンマッチです。前回はジョージさんに40センチ弱のカレイを釣られてしまったので、私ときむさんも気合いが入ります。私は朝3時までかかって淡水真珠を使ったカレイ専用仕掛けを4組準備してきました。きむさんも色々な仕掛けを作ってきたようです。

前回と同様平磯のフィッシュオンで赤イソメと青イソメを買い、8時前に日立港着です。ほぼ同時にジョージさんと近さんも到着しました。早速日立フィッシングセンターのお姉さん?と相談です。

「今日沖提渡れます?」

「今日は北は波があるから真中だけね」

「3時の船までできますかねえ」

「雷が来るっていってたからどうかねえ。少しくらいの雨ならいいけど」

「どうしようか・・・」

と言っているところで、ちょうど天気予報が風と波を出します。東の風で波は3メートルです。

「こりゃー止めた方がいいかな。止めますわ。」

「そうね、またいい日に来てくださいね。」

ということで、相談をして、結局第五埠頭の様子を見ながら南埠頭に行くことになりました。前回船上から見た第五埠頭の様子が気になっていたからです。

20分ほど歩いてやっと南埠頭に到着です。南埠頭から第五埠頭の先端を見てみると、まだ工事中ですが、遊歩道のようになるようです。釣り禁止にさえならなければ結構いい釣り場になるかもしれません。ただ写真でも分かるように、前方にブイが入れてあるのが気になります。あれがあると投げ釣りは難しいですね。

さて、南埠頭の中間辺りまで到着し、釣り開始です。私は主に内側狙いですが、いかだなどが係留されており遠投はできません。で、いかだの手前に落としますが、根掛かりが多く、仕掛けが無くなりそうです。このため、ここでは淡水真珠仕掛けは使わないことにしました。他の3人も内側・外側で様々な攻め方をしていますが、釣果は上がりません。近さんは追い風に乗せて7色飛ばしをしています。きむさんは足元垂らし、ジョージさんはワームでアイナメ狙いなどもしているようです。

10時頃あゆみから電話です。

「パパ、釣れた?」

「ヒトデ。」

「他の人は?」

「近藤さんがチビカニ。」

「木村さんは?」

「葉っぱ。」

「なにそれ。誰も釣れないの?」

「うん。」

「ふーん、がんばってね。」

と励まされましたが、どうがんばっても釣れそうもありません。近さんが先端帰りの釣り人に聞いたところ、その人は25センチほどのアイナメ1匹だそうで、カレイは上がってないそうです。外側にも竿を出している我々を見て、「外側なんか狙ってちゃ駄目だよ」と言われちゃいました。

11時の潮止まりタイムにここを諦め、移動することにしました。行き先は、海が荒れた時にいいと言われている第三埠頭と第二埠頭の間のテトラ帯です。フィッシングセンターのお姉さんがここ3日は荒れていたと言っていたのを近さんがチェックしていたのです。

しかし、このテトラ帯、昔に比べて根掛かりゾーンが増えたようです。結構な確率で根掛かりします。ここで淡水真珠付き仕掛けを3組失ってしまいました。魚の当たりは全くありません。私は木曜夜から徹夜に近い状態が続いていたので、睡魔に襲われ、堤防上で30分ほど昼寝をしてしまいました。

昼寝から起きたところにきむさんがやってきました。手に持っているのはHカニ。今日初の食べられる獲物です。結構良いサイズなので、写真に撮りました。

さて、3時にここも諦め、最後の移動です。目標は久慈漁港と第一埠頭の間か、第一埠頭と第二埠頭の間に決め、偵察開始です。まず第一埠頭の北側から久慈漁港を見ますが、追い風になる久慈漁港第一埠頭にはぱらぱら人が入っています。そこで、第一埠頭と第二埠頭の間を見に行くと、今度は追い風になる第一埠頭南側が工事中で入れませんでした。結局久慈漁港東堤防先端の赤灯台周辺が空いていたので、そこに入ることにしました。

東堤防先端近くに車を止め、堤防に上がると、ちょうど沖堤側の先端部(図のD)で釣っていた2人組がカレイを上げたところでした。

「おっ、釣れてる。」

「時合だ、急ごう」

「結構いいサイズでしたね。」

「30センチ台でしょう。」

「そう?40センチくらいあったように見えたけど」

ということで、早速4人で釣竿を並べます。図Bの赤灯東横に、ジョージさん、きむさん、Aの上に近さんと私の順で船道に向かって投げ込みます。それ以外の釣り人はCに浮き釣りの人が2人いるだけです。私はいつもの通り、4本竿です。カレイは3本くらいが最適と言われていますが、私は多く出して置き竿にするのが好きなのです。逆に近さんは1本の竿を大切にする方で、カレイ釣りでも多く竿を出すことはなく、時折丁寧にさびいています。一般に上級者になるほど竿の数は減っていくようですね。人がいない沖提で一人で7本出したこともある私は超初心者かな。

さて、我々の釣り坐はちょうど追い風なので、楽に5色以上飛んでいきます。ただ、一番漁港の入り口側に入った私は、漁船に糸を切られてしまうという失敗もしてしまいました。この失敗で淡水真珠仕掛けを全て失ったので、上州屋18円仕掛けや、あゆみのキンキラ仕掛け、先日小名浜で60センチ超の日本一カレイが釣れた「音出し仕掛け」(やまがた釣具店に売ってた)などを登場させます。で、しばらく釣りつづけますが、何も釣れません。餌取りは多いようですが、犯人はフナ虫を小型化したような虫です。久慈漁港側にも投げてみますが、釣れたのはヒトデだけ。近さんも船道の深みに投げ込んだ竿をしならせますが、上がってきたのは大きな海藻一株です。

だんだん日も傾きはじめ、夕方を感じさせるような時間になった頃、先ほどカレイを釣り上げた先端のグループが、また良型カレイを上げます。ポイントは外海から流れ込んでくる流れと港内の海水との間にできる潮目の辺りです。これを見たきむさんが先端に行って釣ってみますが、やはり釣果はなく、しばらくして戻ってきました。しかし、カレイの時合であることは間違いなさそうです。みんな気合いが入ります。

しばらくして、近さんと私の糸が交差して、近さんが巻き上げた仕掛けに私の道糸が2本(竿2本分)も絡んでしまいます。そこで近さんの針に絡んだ私の道糸を外し、弛んだ糸を巻き上げるため、自分の竿に戻ります。で、一番近さんに近い側の竿を巻きはじめますが、どうも近さんの仕掛けと絡んで弛んだのはこの竿では無かったようで、糸は張っており、重さがあります。取りあえず軽く合わせて引いてみると動くので、根掛かりではなさそうです。しかし異様な重さです。これは近さんに絡んだ竿の道糸が、この竿の仕掛けにも絡んでいるなと思い、上げることにしました。途中まで上げてきたところで、なんだか変な手応えを感じます。カレイのクイクイという引きに似ているのですが鈍いのです。ただ、何か魚はいそうです。とりあえずポンピングを繰り返し、やっと足元まで引いきますが、重くてなかなか水面近くまで上がりません。何度かの巻き上げで、やっと見えた天秤の下に一瞬カレイの姿が見えました。で、慌てて糸を少し戻し、カレイを沈めて、近さんに声をかけます。

「近さん、タモあります?」

「タモ? 車の中に置いてきたんですよ。魚ですか。」

「うん。じゃあ、私が持っているんで組み立ててもらえます。」

すぐに近さんときむさんが飛んできて、私の荷物からタモを取り出して組み立ててくれました。その間、私はドラグをチェックした上でカレイを引きずりまわして泳がせておきます。といっても2メートルくらい下を泳がせているので、姿は全く見えません。

近「タモできましたよ、上げていいっすよ。」

きむ「ほんとにカレイがいるの?」

私「うん。もうすぐ見えると思うよ」

と言いながら少しずつ上げると、カレイの姿が出てきました。

「おーでけー」

私もやっとサイズが認識できました。40センチクラスです。近さんが手際よくタモに入れてくれました。タモに入れれば一安心です。あとは近さんが上げてくれるのを待つだけです。

これで一件落着と思ったのですが、予想もしないことが起こります。最初に気づいたのは近さんです。

「あれ?もう一匹いる。一荷だ!。」

「えー?あ、ほんとだ。」

「ちょっと竿上げてもらえます。」

近さんがもう一匹もタモに入れようとしますが、上手くいきません。

「上の針が網に掛ってるんですよ。仕方ないから抜き上げますよ。」

「うん。」

近さんが1匹目の入ったタモを上げると、2匹目も上がってきました。

「すげー、このサイズが一荷?」

「感激だあ!!」

下針に掛かっていた2匹目は堤防に上げると同時に針が外れました。今回の場合、下針のカレイには合わせが全く入っていないので、外れやすいのも当然ですが、やはりカレイ釣りにはタモは必須ですね。

上針に掛かっていたカレイの方がだいぶ大きいので、早速サイズを測ると。44センチ近くあります。(結局正確に測ったら43.5センチでした。)

「やったあ、ついに40センチを越えたぞ!」

「時合だ、釣らなくっちゃ。」

みんなの気合いが入ります。その間私はカレイの血抜きをして、刺身に備えます。大型の方は結構多量に血が出るので驚きました。

カレイの処理が一通り終わったので、残っていた竿を上げることにしました。まだ、先ほど近さんの竿と絡んだ仕掛けを上げてなかったのです。2番目の竿は軽く、これが近さんの竿と絡んだ1本目のようです。3番目の竿は少し重く感じます。ただ、この竿のリールは元々少し重いのです。

「ちょっと重いなあ。」

「えーまたですか?またタモ係りはいやですよ。」

近さんが冗談交じりに言います。

「いや、風のせいかも。いずれにせよタモがいるようなサイズじゃないです。」

「ほんとに風で良くわかんないですよね。」

風は夕方になって益々強くなってきました。で、上がってきたのは天秤だけ。原因はやはり風だったようです。

4番目の竿はまた軽々で、これが近さんの竿と絡んだ2本目のようです。軽い部分を巻き上げ糸の弛みもとれて、やっと重くなるかな、というところで携帯のベルが鳴ります。慌てて巻き上げを中止し、電話に出ます。

「パパ、釣れた?」

「あゆみか? 釣れたぞ。カレイ、44センチだぞ。」

「えー、うそー、負けたあ。すごいじゃん。」

「まいったか。」

「まいった。涙出ちゃいそう。」

娘をいじめるパパです。でも泣かしては大変です。

「でね、2匹いっぺんに釣れたんだよ。」

「えーすごいじゃん。もう1匹は何センチ?」

「35センチくらい。」

「ふーん、すごいね。私も行きたい。」

ということで、娘としばらく話した後、途中になっていた最後の1本を上げることにしました。既に足元近くまで来ているはずなので、ちょっと巻くだけだと思ったのですが、結構な重さです。で、上げはじめた瞬間、クンクンと引きが伝わってきました。この引きは魚を見なくても分かります。カレイです。

「あれ?魚が乗ってるぞ。」

「えー本当ですか?」

「うん。タモお願いできます?」

上がってきたのは、やはりカレイです。これも40センチ近い結構いいサイズです。これまた近さんが手際よくタモ入れしてくれました。

「さっきよりは小さいなあ。」

「あー贅沢言ってる。」

近さんに皮肉られながらも、嬉しくてつい調子にのります。

「もう今日はこれでいいや、これ以上釣っても食べれないしね。」

一生で一度(かもしれない)の余裕ぶちかましです。

その後は私も竿を1本にして餌が無くなるまで粘りましたが、近さんに一度いい当たりがあっただけで、カレイは上がりませんでした。でも、先端のグループにはまた上がったようです。カレイは相当大きい群れで回遊しているようです。

帰りがけに「やまがた釣具店」にお邪魔して釣果を報告したところ、重さを量ってくださるということで、お願いしました。結局3匹のサイズは、最初の2匹が43.5センチ950gと36.5センチ550gで、あとの1匹が38センチ650gでした。御主人によると、この腹の白いカレイは沖から入って来たカレイなので、居つきのカレイよりも断然美味しいのだそうです。写真まで撮っていただき感激でした。御主人には他にも色々な情報を教えていただきました。ありがとうございました。

ちなみに。やまがた釣具店の釣況情報は、AFISのBBSの釣況情報に毎週載ってますので、見てくださいね。ここの御主人はとても良い方で、日立のことなら何でもご存知ですから、皆さんも、AFISで情報を見たと言って、詳しく尋ねてみてはいかがですか。

結局今日は私だけがいい目を見てちょっと心苦しいところもありましたが、念願の40センチ超も釣れたし、最高の一日でした。ちなみに、一荷で釣れた時の仕掛けは、上州屋18円仕掛け(12号流線3本針飾り無し)で、もう一匹のカレイはあゆみのキンキラ仕掛けでした。餌はどちらもアオマムです。場所は、最初の2匹は120メートルほどの遠投ですが、最後の1匹は近さんの竿と絡んで引きずられていたので、どこで釣れたのか分かりません。もしかしたら近くで食ったのかもしれません。結局淡水真珠の効果は確かめられませんでした。また次回に試してみます。

日立のカレイ、しばらくは良さそうです。冬は寒いので、毎週は無理ですが、また近々行くことになると思います。みなさんも、ぜひどうぞ。